劇場版『イヴの時間』を見ました。このアニメ、めちゃめちゃ良かった。ずっと前にネットで配信されていたのですね。それの総集編が劇場版です。
ちょっぴり切ないけど心温まるSFアニメです。人間とそっくりなアンドロイドがでてくる。ディックの小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を連想しました。
劇場版アニメ『イヴの時間』評価とあらすじ、見どころの解説、感想 (ネタバレあり) を書いています。
もくじ
『イヴの時間』評価・あらすじ
切なくて心温まるアニメ
未来、たぶん日本―。アンドロイド (人間型ロボット) が実用化されて間もない時代。ロボット倫理委員会の影響で、人々はアンドロイドを家電として扱うことが日常となっていた。高校生のリクオも幼いころからアンドロイドを便利な道具として利用していた。ある時、リクオは自家用アンドロイド・サミィの行動記録に不審な点があるのに気づく。親友のマサキとともに、サミィの行動記録の元、たどり着いた場所は 「当店内では人間とロボットの区別をしません」 というルールを掲げる喫茶店 「イヴの時間」 だった。
作品情報
- 監督 : 吉浦康裕
- 放送期間 : 2010
- 時間 : 106分
- 評価 :
登場人物
- 向坂リクオ・・・主人公。高校生
- 真崎マサカズ・・・通称マサキ。リクオの親友
- サミィ・・・リクオの家にいる若い女性の外観を持つハウスロイド。
- ナギ・・・「イヴの時間」の店長。拗ねやすい
- アキコ・・・「イヴの時間」 の客。明るく面倒見が良い
- コージ・・・「イヴの時間」 の客。いつもリナと一緒にいる
- リナ・・・「イヴの時間」 の客。コージが好き
- シメイ・・・「イヴの時間」 の客。人のいい老紳士で、チエの保護者的存在。
- チエ・・・「イヴの時間」 の客。シメイの里子で、元気の良い少女
- セトロ・・・「イヴの時間」 の客。いつも本を読んでいる
『イヴの時間』ネタバレ感想
喫茶店 「イヴの時間」 に行ってみたくなりました。人間とアンドロイドの区別なく一緒に笑いあったりできる場所。

(C)2009/2010 Yasuhiro YOSHIURA / DIRECTIONS, Inc.
喫茶店 「イヴの時間」|Are you enjoying the time of EVE ?
喫茶店 「イヴの時間」 での空気感が好きです。人間もアンドロイドも関係なく、ゆるりと時を過ごすことができる場所。
「イヴの時間」 には、ちょっと変わったルールがありました。

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当店内では・・・人間とロボットの区別をしません
人間とロボットの区別をしない。ここで描かれているアンドロイドの容姿は人間そのものです。外見での唯一の違いは頭の上にリングがあるかないか。
実際 「イヴの時間」 の中ではリングがないから、誰が人間かアンドロイドかわからない。みんな人間かもしれないし、みんなアンドロイドかもしれません。
人間かアンドロイドか。ここではその区別がどうでも良いような気持ちになるんです。
前に読んだディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』。映画『ブレードランナー』の原作小説を連想しました。
人間と区別がつかないアンドロイドが描かれています。読んでいると人間よりも人間らしく思えてしまうから不思議な気持ちになりました。
アニメ『イヴの時間』でも、喫茶店にいるときはみんな感情もあって、人間もアンドロイドもあまり変わらない。その空気感が心地良く感じます。
アンドロイドの気持ち
「イヴの時間」 で出会ったアキコ。自分のうちのアンドロイドについて、リクオとマサキに語る話に心が温まりました。

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アキコは人間もアンドロイドもみんな家族だって思っていて、見た目がそっくりでも中身は全然違うことを分かっている。
あなたは私をどう思ってるの?
いろいろ話して、もっとわかってあげたいという気持ち。
だって家族だから
この時点ではリクオもマサキも、そしてアニメを見ている私もアキコは人間だと思っていました。
けど実際は違っていた。アキコはアンドロイドでした。アンドロイドが人間 (マスター) のことを家族だと思っていて、もっとわかってあげたいと思っていたのです。
リクオの変化する心|優しい嘘
ロボットには三原則なるものがあります。アイザック・アシモフのSF小説で描かれているものでした。
- ロボットは人間に危害を加えてはならない
- ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない
- 自己をまもらなければならない
アンドロイドは人間の命令に服従しますが、嘘をつくことができます。リクオが 「イヴの時間」 を訪れたのはハウスロイド・サミィの行動記録に不審な点があったからです。

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サミィは 「イヴの時間」 で過ごすことをリクオには内緒にしていました。でもそれは悪意ある嘘ではなくて相手のことを思う優しい嘘。
- 美味しいコーヒー・イヴレンドの入れ方
- ピアノを引かなくなったリクオへの思い
「イヴの時間」 の店長・ナギにコーヒーの入れ方を教えてもらったり、様々なことを相談したりしていました。全てリクオのことを思ってのことです。
サミィと一線を引いて接していたリクオ。ナギから彼女の気持ちを聞いてから、少しずつ変わっていくのが微笑ましかったです。
『イヴの時間』には多くの用語が使われていました。「ドリ系」 というのもその一つ。
アンドロイド精神依存症 (Android Holic、アンドロイドホリック) のこと。ハウスロイドを人間視してしまう若者のことを指した言葉。
人間に接するのと同じようにアンドロイドに接する人たちのことをドリ系と言っていました。でもサミィや 「イヴの時間」 で過ごすアンドロイドたちは人間そのものです。
リクオもドリ系と思われるのが嫌でサミィと一線を引いていました。「イヴの時間」 で過ごすうちにアンドロイドの気持ちを理解していく。
『イヴの時間』みどころ・ポイント
- 喫茶店 「イヴの時間」 での空気感
- アンドロイドの気持ち
- リクオの変化する心
みどころは喫茶店 「イヴの時間」 で過ごすひととき。誰が人間で誰がアンドロイドかわからない感じが面白い。実はアンドロイドだったというのが分かりハッとなります。
アンドロイドと一線を引いていたリクオの気持ちの変化にも注目です。
- SF (AI) ものが好き
- ほのぼのしたい
SF好きにはもちろん、ほのぼのと癒されたい時にもおすすめ。これからAIがもっと発達していくなかで、いつかこんな風になるかもと考えずにはいられない。
続きが気になる『イヴの時間』続編は?
劇場版『イヴの時間』はファーストシーズンをまとめた総集編です。いろいろと謎が多い。
続編が気になりますが、まだ出てないようです。ファーストシーズンということは、セカンドシーズンも作られるのかなと期待しています。
小説はこちら

