『NO.6』アニメのネタバレ感想・みどころ解説|紫苑とネズミの恋愛感情
君に出会えて良かった
SF・ディストピアアニメ『NO.6』(ナンバー・シックス)。原作は、あさのあつこさんの小説です。小説を読んでからアニメを全話見ました。
アニメもよかった。
原作ノベライズは長編で全9冊。それを11話のアニメにしているから、カットされているところが多い印象です。
『NO.6』あらすじ&作品情報
全てを約束されたエリートとして生活していた紫苑。彼は12歳の誕生日、大雨の夜に偶然部屋に転がり込んできた少年・ネズミを助ける。次の日、少年は姿を消した。それから4年後、紫苑の身の回りで奇怪な事件が起こり始めた。再びネズミと再開した紫苑は 理想都市「NO.6」を追われ、西ブロックへと向かうことに・・・。
『NO.6』ネタバレ感想アニメの魅力を解説
© あさのあつこ・講談社/NO.6製作委員会
アニメ、良かったです。小説で際立っていたダークなシーン(矯正施設と人狩り)が、アニメでは軽減されていました。私にはこれくらいがちょうど良いかも。
それでも矯正施設と人狩りシーンを見るときは、少しだけ緊張しました。あのシーン、そのまま小説通りに描かれるのかなと。
小説は悲惨だったからね。恐怖のどん底に突き落とされたよ。
アニメでは、思っていたほど怖くなくて良かったです。
理想都市「NO.6」の真実と崩壊
© あさのあつこ・講談社/NO.6製作委員会
物語の舞台は理想都市「NO.6」と外側の西ブロックです。ユートピアであるはずが、実はそうではなかった。
「NO.6」に対する不平不満は御法度。その中で暮らす人々は幸せでなければならない。
不自由と押し付けられた幸せ。徹底的な管理社会ですね。管理されている側はとても窮屈です。
伊藤計劃さんの小説『ハーモニー』でも管理社会が描かれていたな。アニメ化もされてるよ。
ユートピアを目指していたはずの「NO.6」は、人間の欲にまみれてディストピアになっていました。
人間の欲は果てしない・・・。恐ろしいくらいに。
紫苑とネズミが矯正施設に侵入して、結果、聖都市「NO.6」は崩壊。「NO.6」を覆っていた壁は壊れます。
ラストは小説と違ったけど(紫苑が死んで生き返るし)、これはこれで良い結末でした。ネズミは原作どおり、紫苑の元を去ってしまいますが・・・。
紫苑とネズミの信頼関係
© あさのあつこ・講談社/NO.6製作委員会
天然で好奇心旺盛の主人公・紫苑。そして鋭く美しいネズミ。
彼らの信頼関係が良かったです。誰にも頼らず、人を信用せずに生きてきたネズミが紫苑と出会ったことで変わっていく。
人の温もりに包まれているような温かさを感じました。
紫苑がネズミに惹かれる気持ちがわかる。私もネズミが好きだから。
イヴとして、小さな劇場で役を演じるネズミが美しかったです。第8話「そのわけは・・・」での彼の歌には癒されました。
ネズミは強くて美しい人だと思っていたけど、ほろっと見せる弱さがあって、そこにキュンとします。
紫苑もネズミと出会ったことで強く生きていく。守るものがあると人は変わるものですね。それがアニメから伝わってきてジーンとしました。
西ブロックでの生活
西ブロックでの生活にほっこり。「NO.6」での生活とは真逆の過酷な環境でしたが、人々は自由に生きていました。
紫苑がネズミの劇場を見に行って、呆気にとられているシーンが好き。
過酷な現実の中で、それでも懸命に生きていく紫苑とネズミの強さ。
壁の中と外に理不尽な格差を感じながらも、ほっこりするシーンもあって微笑ましくなりました。
やがて、ほんのひとときの幸せな時間は人狩りによって破壊されます。築き上げるのには時間がかかるのに、壊すのは一瞬。・・・儚いですね。
第7話「真実の嘘・虚構の真実」紫苑とネズミに恋愛感情はあるか?
© あさのあつこ・講談社/NO.6製作委員会
アニメ「NO.6」全11話の中で最も好きなエピソードは、第7話「真実の嘘・虚構の真実」です。お互いを信頼し合う紫苑とネズミの気持ちが言葉で描かれていました。
おやすみのキス|紫苑の気持ち
© あさのあつこ・講談社/NO.6製作委員会
君に出会えて良かった
ネズミに出会えたことで、泣いたり笑ったり怒ったり。自分にもいろんな感情があると気づいたこと。
確かにネズミと出会って紫苑は変わりました。彼のために怒ったり泣いたり。
そして、おやすみ(お別れ)のキス。
このキスシーンが、「NO.6」がボーイズラブと言われる所以。第4話「魔と聖」では、”君に惹かれている”と、紫苑のネズミに対する気持ちも描かれています。
紫苑とネズミは恋愛感情がある?・・・ボーイズラブなのは否定はしないけど、少し違うような気がしました。
自然なんだよね、キスシーンが。それにネズミに惹かれる紫苑の気持ちが理解できるから。
もっと知りたいと思うような魅力が ネズミにはあります。
奇跡の出会い|ネズミの気持ち
© あさのあつこ・講談社/NO.6製作委員会
あの無防備に開け放たれた窓は、俺にとって奇跡だった。人は確かに人に救われることがある。それをあんたが教えてくれた
4年前、紫苑に助けられたこと。紫苑と出会えたから今の自分があること。
森の民の生き残りであるネズミ。家族を「NO.6」に殺されて、人を信じず、ひとりで生きてきました。
そんな彼が紫苑と再開し、人を信頼することの尊さを学ぶ。お互いを尊重し守り抜く2人を見ていると胸が熱くなります。
『NO.6』みどころ・おすすめポイント
- 理想都市「NO.6」の真実と崩壊
- 紫苑とネズミの信頼関係
- 西ブロックでの生活
『NO.6』のみどころは、なんと言っても紫苑とネズミのキャラにあります。お互いがお互いを思いやり尊重しあう関係性。
一見、BL(ボーイズラブ)のようにも見えるけど、そういうのじゃないんだよね。
『NO.6』原作小説もおすすめです。超長編(全9冊)だけど、あさのあつこさんは児童文学も書いている作家さんなので読みやすい。長さは気になりませんでした。