『少女終末旅行』ネタバレ感想&アニメの魅力|チトとユーリに癒やされる旅アニメ
知らなかったねぇ。夜がこんなに明るいなんて。
『少女終末旅行』アニメの世界観がたまらなく好きです。シリアスだけどほのぼのしていて癒やされるんですよね。
崩壊した世界でふたりの少女が都市の最上階を目指すストーリー。
チトとユーリの言葉が心に刺さるんだ。
ある種のメッセージ性がある物語です。ハマりました、アニメにもコミックにも。
『少女終末旅行』あらすじ&作品情報
繁栄と栄華を極めた人間たちの文明が崩壊してから長い年月が過ぎた。生き物のほとんどが死に絶え、全てが終わってしまった世界。残されたのは廃墟となった巨大都市と朽ち果てた機械だけ。終わりの世界で、ふたりぼっちになってしまった少女、チトとユーリ。ふたりは今日も延々と続く廃墟の中を愛車ケッテンクラートに乗って、あてもなく彷徨う。
『少女終末旅行』アニメの魅力|終末世界での旅路
© つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会
『少女終末旅行』は全てが終わりを迎えた世界を舞台に、ふたりの少女が旅をする物語です。
- 最上階を目指す少女たちに癒やされる
- 終末世界で感じる絶望と光
- さまざまな言葉にハッとする
ゆったりとした時間の流れや空気感が良いんだ。
全12話だけど1話の中に2〜3つのストーリーが入っていて連作短編のようになっていました。各話のタイトルはこんなカンジ。
- 「星空」「戦争」
- 「風呂」「日記」「洗濯」
- 「遭遇」「都市」「街灯」
- 「写真」「寺院」
- 「住居」「昼寝」「雨音」
- 「故障」「技術」「離陸」
- 「迷路」「調理」
- 「記憶」「螺旋」「月光」
- 「技術」「水槽」「生命」
- 「電車」「波長」「捕獲」
- 「文化」「破壊」「過去」
- 「接続」「仲間」
漢字2文字のタイトル・・・というのも味があって良いですね。
最上階を目指す少女、チトとユーリに癒やされる
© つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会
主人公はふたりの少女、チトとユーリ。黒髪のツインテールがチトで、金髪のアホ毛がユーリです。
- チト・・・冷静沈着な性格。読書好きで本と日記を大切にしている。カナヅチで高所が苦手。ケッテンクラートはチトが運転している
- ユーリ・・・のんびり屋で食欲旺盛。思ったことをそのまま口にする性格。運動が得意。移動中はいつもケッテンクラートの荷台に乗っている
ふたりのやり取りがほのぼのしていて癒やされるよ。
この空気感(ふたりの信頼関係)は『キノの旅』に通じるものがありました。キノとエルメスの会話もほのぼのしていて強い絆を感じるんです。チトとユーリみたいに・・・。
チトとユーリは愛車ケッテンクラートで廃墟の中を進んで行きます。彼女たちの他には誰もいないのかな・・・と思っていたら、いました。
旅の途中で出会うカナザワとイシイです。
彼らと過ごしたほんの少しの時間も良かった。
終末世界で出会いと別れを繰り返して、彼女たちは何を感じ何を思うのか。
ふたりの視点を通して、または第三者目線で味わう終末世界は哀愁があって感慨深いです。
終末世界で感じる絶望と光
© つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会
絶望の中でも光を見出して生きていく、チトとユーリの姿に強さを感じました。
雪が降り、周りは墜落した飛行機の残骸や瓦礫の山。そして食料も残りわずか・・・。そんな中でも綺麗なものには目を奪われる。
知らなかったねぇ。夜がこんなに明るいなんて
「星空」で描かれた星が輝く夜。暗い穴の中から外へ出たふたりが見た夜空がキレイでした。絶望的な状況の中に光があって世界が美しく感じるシーンです。
北海道地震でブラックアウトになったときの星空を思い出した。
人工の光がないと星がめちゃめちゃキレイなんですよね。ここで描かれた終末世界も人工の光がないから。
© つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会
チトとユーリはこの世界を受け入れていてドーンと構えている感じでした。・・・強いですね。
彼女たち以外の登場人物にも、サラッと絶望が描かれています。
- 生きがいの「地図」を落としたカナザワ
- 夢が砕けて落下したイシイ
「生きがい」や「夢」が崩れたあとも生きていかなければならないこと。
辛い状況が描かれているけど、「生きていれば楽しいことがある」というのを証明しているのがチトとユーリなんです。
彼女たちを見ていると元気をもらえるんだ。
さまざまな言葉にハッとするメッセージアニメ
© つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会
ユーリの言葉が胸につまりました。第1話で描かれているシーン。
まるで戦争さながら、レーション(固形食料)の取り合いをしたチトとユーリ。ユーリが勝ったけど、ふたりは雪の上に転げてしまいます。
雪を口にしたユーリは・・・
雪を食べなくちゃならないなんて。本当に戦争って嫌だね
「戦争」=「雪を食べる」ではないけど、ユーリの中ではこれも「戦争」で。思ったことを正直に言葉にしている彼女が愛おしくなりました。
© つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会
終末世界を生きている彼女は、本当は「戦争」がどんなものなのか、わかりすぎるくらいわかっているんです。でもあえての「雪を食べなくちゃならないから戦争は嫌」。
うっ・・・ときたよ。ユーリの言葉、胸に刺さった。
『少女終末旅行』ネタバレ感想&好きなシーン
© つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会
『少女終末旅行』好きなシーンはたくさんあります。その中でも特に印象に残ったのは3つでした。
- 人類最後の飛行者・イシイ|#6「離陸」
- 甘いって幸せ|#7「調理」
- 崩壊前の歴史|#12「接続」
第6話ではイシイが登場するよ。
人類最後の飛行者・イシイ|#6「離陸」
チトとユーリが出会ったイシイが印象に残っています。彼女は人類最後の飛行者。・・・イシイはひとりで飛行機を組み立てていました。
完成したら、こいつで私はこの都市を出る
イシイの目的地は隣の都市です。隣りにも街があるんですね。そこも崩壊してそうだけど・・・。
飛行機の試作機を飛ばしたり、組み立てているイシイは生き生きとしてた。
終末世界だから、よけいにイシイやカナザワみたいに「夢」や「生きがい」を持つことが輝いて見えたのかもしれません。それを見いだせる人間って強い。
© つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会
チトは、もし飛行機が落ちたらと不安になっていたけどイシイの決意は固い。
どこにも行けなければ、それこそ絶望だろ。この都市とともに死んでいくだけだ
・・・失敗しちゃうんですよね。
飛び立った飛行機は羽根が折れて落下。イシイはパラシュートで浮いていたので大丈夫そうでした。
夢は砕けたけど、笑ってるイシイの姿が印象的だったよ。
そんな彼女を見て「絶望と仲良くなったのかも」とユーリ。・・・荷が下りた感じかな。
落下しちゃったけど、壮大な音楽とともに飛行機が飛び立つシーンは圧巻でした。目が離せなかったです。
甘いって幸せ|#7「調理」
イシイの飛行を見守ってから、彼女に教えてもらった食料庫を目指すチトとユーリ。終末世界では水と食料の確保が第一ですね。
© つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会
食料庫でイモを粉にしたものと、砂糖、塩を見つけました。
いも、さとう、しおで、もしかしてレーション作れるんじゃ・・・
第7話「調理」。レーション(固形食料)作りが楽しそうでした。粉を混ぜて捏ねて切って焼く。
ユーリが作ったお魚の形のレーションが可愛い。
他にもカナザワ、イシイ、チト、ユーリの顔のレーションが並んでいました。食べるのがもったいない気になりますね。
砂糖を多めに入れたのか、ふたりが作ったレーションは甘めだったようです。チトとユーリの顔、ゆるんでました。
崩壊前の歴史|#12「接続」
© つくみず・新潮社/「少女終末旅行」製作委員会
最終12話「接続」では、崩壊前の地球の歴史が繰り広げられます。世界は滅んでしまったのに、過去の歴史がそのまま残されているなんてジーンとしました。
カナザワからもらったカメラの中に保存されていた写真と動画。
まだ崩壊前の人々がたくさんいたときの映像です。そこには幸せそうに笑いあっている人々の日常がありました。
本や日記、写真など、記録して未来に残せるものって良いね。
崩壊した世界で生きるチトとユーリを見てきたから感慨深いものがあるよ。
「なんでチィちゃんが昔のこと知りたがるのか少しわかったかも」と言うユーリ。
私たち、ずっと2人きりだけどさ。こうして人々が暮らしてたんだなってことがわかると、少しだけ寂しくない気がするね
ユーリの言葉とともに、たくさんの人たちが笑いあっている日常が流れているシーンは泣きました。切なくも心が温まります。
最上階には何がある?続きはコミックで・・・
『少女終末旅行』アニメ版は、原作コミックの途中まで描かれました。最終12話ではまだ最上階にたどりつけてないんですよね。
- 最上階には何があるのか
- 彼女たちはどうなるのか
アニメの続きはコミック5巻からだよ(全6巻完結)。
原作、とても良かったです。アニメから入り、その世界観とほのぼのした雰囲気に魅了されて全巻読了。
チトとユーリが最上階にたどり着くまでには、さまざまな出会いと別れがあって胸がキュッと締め付けられました。
最終巻では今までお役立ちだったアレとの別れがあって泣いた。
『少女終末旅行』みどころ・おすすめポイント
- 旅するチトとユーリ
- 終末世界で感じる絶望と光
- 心に刺さる言葉
『少女終末旅行』アニメのみどころは、チトとユーリが織りなす終末世界の旅。シュールだけどほのぼのとしていて、空気感がとても良かったです。
絶望の中にも光を感じられるよ。
原作コミックの世界観を壊すことなくキレイに仕上がったアニメでした。癒やされたいとき、ゆったりした時間に身をおきたいときにおすすめです。