『ペンギン・ハイウェイ』ネタバレ感想・アニメの魅力を解説|アオヤマ君の恋と成長
誰にでも、忘れられない夏がある。
映画『ペンギン・ハイウェイ』。森見登美彦さん原作小説がアニメ化された作品です。ファンタジーでほのぼのしました。
主人公のアオヤマ君が生と死を通じて成長していく物語。
ペンギンに癒されつつも、ラストは切なくて泣けたよ。
『ペンギン・ハイウェイ』あらすじ&作品情報
小学4年生のアオヤマ君は、一日一日、世界について学び、ノートに記録している男の子。彼にとって何より興味深いのは、通っている歯科医院のお姉さん。夏休みを翌月に控えたある日、アオヤマ君の住む郊外の街にペンギンが出現した・・・。少し不思議で、一生忘れないあの夏が始まる。
『ペンギン・ハイウェイ』魅力を解説
© 2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会
森見登美彦さん原作『ペンギン・ハイウェイ』。監督・石田祐康さんとのタッグ、アニメ映画です。
日常に紛れ込んだ不思議を描いたファンタジー。絵柄が可愛くてほのぼのしますね。
リアルとファンタジーが混ざった世界観が楽しめるよ。
いつもと変わらない日常の中に突然でてきたペンギン。・・・可愛いけど、なぜ?
- 突然あらわれたペンギン
- アオヤマ君の淡い恋心
- お姉さんの秘密
不思議で楽しくて、ちょっぴり切ない。『ペンギン・ハイウェイ』アニメの魅力を詳しくみていきます。
突然あらわれたペンギン|魅力①
© 2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会
『ペンギン・ハイウェイ』アニメの魅力は、リアルとファンタジーが混ざった世界観。
森見さんの小説を何冊か読んだことがあります。『夜行』や『熱帯』をはじめ、現実と異世界が混ざりあったような不思議な心地が味わえるんですよね。
現実とファンタジーの境界線がないんだ。気づいたら不思議な現象が起きてる。
『ペンギン・ハイウェイ』を見ながら、これこれ、この感覚!・・・と、なぜか嬉しくなりました。
突然ペンギンが街中に現れるんです。ありえないことだけど、そこは森見ワールドの許容範囲。アニメでも彼の世界観が上手く表現されていました。
- なぜペンギンは現れたのか
- そもそも彼らは本物のペンギンなのか
- どこから来たのか
こういう謎って魅力にあふれてるよね。
物語が進むにつれて、さらにファンタジー感が増してワクワクが止まらなくなりました。
不思議な球体〈海〉、お姉さんとペンギンの関係、世界の果て・・・。この不思議な現象は最後にアオヤマ君の研究で一本の線に繋がっていきます。
アオヤマ君の淡い恋心|魅力②
© 2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会
主人公は小学4年生の男の子、アオヤマ君です。彼がちょっと生意気で可愛い。
アオヤマ君は物事をしっかり観察・考察して実験する。幼いながら一端の研究者のような子でした。
東野圭吾さんの小説・湯川先生 (ガリレオ) みたい。福山雅治さんがドラマで演じていたね。
アオヤマ君は、自分が通っている歯科医院のお姉さんに恋をする。
なぜお姉さんの顔を見ていると、嬉しい感じがするのだろう。なぜ僕が嬉しく思う顔が遺伝子によって完璧につくられて、今ここにあるのだろう
大人びた小学生だけど、まっすぐ。
お姉さんと過ごすシーンを見ていると、自然と顔がほころぶんです。『ペンギン・ハイウェイ』は、アオヤマ君とお姉さんの関係も魅力。
そしてラストは、アオヤマ君の恋心に切なさを感じずにはいられません。
お姉さんの秘密|魅力③
© 2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会
アオヤマ君が恋をしたお姉さんもまた不思議な存在でした。お姉さんがコーラの缶を空に向かって投げると、コーラの缶がペンギンに・・・。
私というのも謎でしょ。この謎を解いてごらん。どうだ、君にはできるか
ペンギンとお姉さんは何か密接な関係がありそう。
お姉さんはどうしてペンギンをだせるのか。・・・ラストに解明しますが、全てに答えを求めるのは無粋です。
森見さん原作のアニメだから、不思議は不思議のまま残しておくのが良い気がする。
森見さんの小説はそういうの多いんです。全てクリアにしないのが楽しむ秘訣。
『ペンギン・ハイウェイ』ネタバレ感想
ここからは アニメ映画『ペンギン・ハイウェイ』の感想を中心に書いています。内容にふれますのでご注意ください。
アニメには、ワクワクする楽しさがたくさん描かれていたよ。
クラスメイトで探検仲間のウチダ君と、ハマモトさんとの謎の球体〈海〉の研究、果てがない川の謎・・・。
特に好きなシーンは、お姉さんがペンギンを出すところです。
コーラの缶からペンギン
自動販売機に括り付けられたアオヤマ君をお姉さんが助け、空に向かって放ったコーラの缶がペンギンに・・・。
か、かわいい!ペンギン。テンション上がる⤴⤴
謎に満ちたシーンですが、お姉さんがあっけらかんとしていてペンギンを出すのが日常のようにも感じてしまう。
このアニメ、ペンギン好きにはヤバイかも。
アオヤマ君の断食
© 2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会
『ペンギン・ハイウェイ』は前半ほのぼのと癒されますが、後半は泣いてしまうところもあります。
アオヤマ君が断食を決意するシーン。
今日から3日間、僕はごはんを食べない
ここ2、3日何も食べてないと辛そうに話すお姉さんを見たアオヤマ君は、自分で検証しようとします。
お姉さんはどうして3日間、断食しても平気でいられたのか。
彼はお姉さんがペンギンを出せることを知っていました。そしてそれが、たぶん人間には出来ないであろうことも。
アオヤマ君の気持ちを想像したら、涙が止まらなくなった。
彼はお姉さんのことが好きだったから。ペンギンを出せたとしても、お姉さんが人間だと信じたかったんじゃないかな。
それなのに、お姉さんは3日間の断食。
もし彼が断食できなければ、それが出来てしまうお姉さんの存在はなんなんだと言うことになるから・・・。
切ないラストに号泣
© 2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会
お姉さんが消えてしまうラストは切なかったです。そしてアオヤマ君の信念に切なさを感じました。
世界の果てに通じる道は、ペンギン・ハイウェイである。その道をたどっていけば、もう一度お姉さんに会うことができると僕は信じるものだ
ちなみに、「ペンギン・ハイウェイ」 とは・・・ペンギンたちが海から陸にあがるときに決まってたどるルート。
本当はアオヤマ君は悟っているんです。お姉さんとはもう会えないことを。でも認めたくない・・・。
不思議なことが平気でおこる森見ワールドだから、いつかお姉さんと再会できるかも。
世界の果て|袋の外側と内側
© 2018 森見登美彦・KADOKAWA/「ペンギン・ハイウェイ」製作委員会
『ペンギン・ハイウェイ』を見ていて、アオヤマ君のお父さんの言葉が気になりました。
世界の果ては折りたたまれていて、内側に潜り込んでいる
ここで言う 「世界の果て」 は、ペンギンの異世界。お姉さんがいる場所でもあります。ペンギン・ハイウェイの先ですね。
「世界の果て」 というと、決して手の届かない宇宙のずっと向こうと想像してしまうけど、アオヤマ君のお父さんは内側に潜り込んでいると言います。
小さな巾着袋で説明してるのが面白い。
袋の外側が今いる世界で、内側が世界の果て。袋は地球を例えているように見えました。
そしてそれをひっくり返すと内側が外になり、外側が内になる。世界が逆転するわけですね。
お父さんの仮説、好きです。ペンギン世界がこの世界の内側にあるとすれば、宇宙の果てにあるより届きそうな気がするから。
小説『クラインの壺』を連想しました。
似たもので 「メビウスの輪」 というのもあります。内側だと思っていたら外側で、外側だと思っていたら内側で・・・。
現実と仮想世界の境目があやふやなところ、まるで森見ワールドだ。
『ペンギン・ハイウェイ』みどころ
- ペンギンとファンタジー世界観
- アオヤマ君の恋
- お姉さんの秘密
アニメ映画『ペンギン・ハイウェイ』みどころは、ペ・ン・ギ・ン。可愛くて癒されます。アオヤマ君とお姉さんのやりとりも、ほのぼのしました。
ペンギン好きは絶対見た方が良いアニメ。