『東京BABYLON(バビロン)』結末&ネタバレ感想|星史郎の気持ちを考察、続編『X』と北都の術を解説
バッドエンドを迎えるCLAMP原作漫画『東京BABYLON(バビロン)』。結構な鬱展開だけど魅力満載のコミックです。
星史郎にとって昴流は単なる獲物でしかなかったのか。特別な感情は持てなかったのか。
皇一族と敵対関係にある暗殺集団『桜塚護(さくらづかもり)』の跡取り息子である星史郎。
気になるのは昴流に対しての星史郎の気持ちでした。『東京BABYLON』での2人の関係、最後に続編『X』を読んでの星史郎の気持ちを考察しています。
『東京BABYLON』は、昴流と星ちゃんの決着がつかずに終わるんだよね。別のCLAMP漫画『X』で、一応の決着が描かれてるよ。
『東京BABYLON(バビロン)』あらすじ
皇昴流は人々を呪いや怨霊から守る陰陽師一族の若き当主。優しく繊細な彼を見守り励ます、明るい双子の姉の北都。皇家に敵対する強大な力を持ち、かつ残忍な暗殺集団といわれる桜塚護(さくらづかもり)の跡取りで獣医師の桜塚 星史郎。絶対に相容れない一族同士のはずが星史郎は常に昴流と行動を共にし、優しく振舞う。やがて星史郎の目的が明らかに・・・。
『東京BABYLON』皇昴流と桜塚星史郎の関係|ネタバレ解説
『東京BABYLON』は、主に3人の登場人物で展開されます。
- 皇一族の13代目当主・皇昴流(すめらぎすばる)
- 姉・皇北都(すめらぎほくと)
- 暗殺集団『桜塚護(さくらづかもり)』の跡取り息子・桜塚星史郎(さくらづかせいしろう)
同じ陰陽師でも皇一族が表なら桜塚護は裏、言わば敵対関係です。・・・にも関わらず、昴流に猛アタックする星史郎。
皇当主と桜塚護との恋!?
ドキドキですが、鬱展開で絶望的なラストでした。ちょいちょい星史郎の黒い部分が垣間見えたりして、スリルがあるんですよね。
結局、最初から最後まで昴流は桜塚護の獲物でしかなかったのかな。
昴流と星史郎の出会いと賭け|封印された桜の木の下の記憶
昴流と星史郎の出会いは昴流が幼少のときに遡ります。・・・最も昴流の記憶は星史郎に封印されていて、全て思い出すのは物語の後半なのですが。
出典:CLAMP『東京BABYLON』より
桜の花が毎年こんなに綺麗に咲くのは その下に死体が埋まっているからですよ
序盤にも少し描かれている桜の木の下のシーンがインパクト大です。・・・昴流は忘れているけど、実は、このとき星史郎の足元には子どもの死体があったのですよね。
昴流が全部思い出すのは、星ちゃんを特別だと認識した後なんだ。
なぜかその時に昴流を殺さなかった星史郎は、昴流の手に『桜塚護の獲物』の印を刻み、ある賭けをすることに・・・。
星史郎のアプローチの裏には、そんな賭けがあったんだね。
その後2人は再会し、約束通りに星史郎は昴流のことを「特別」に思おうと「努力」するわけです。
星史郎の猛アタックと変化する昴流の気持ち
裏表が不気味な印象の星史郎ですが、ある種の魅力があるのも事実。『東京BABYLON』では1番好きなキャラです。
ミステリアスなギャップが良いんだよね。それと広い肩幅も。
昴流と再会した星史郎は、7年前の約束の通りに昴流を「特別」に思おうと「努力」し、猛アタック。記憶を失っている昴流はタジタジ、北都ちゃんはなぜか応援しているけど・・・。
ドキドキしながらもコミカルに描かれている描写に引き込まれました。
星史郎の気持ちが偽りだったとしても、3人の絡みはほっこりするんだ。
後半の「REBIRTH」で、星史郎が昴流を庇って片目を失明するシーンを経て自分の気持ちの変化に気づく昴流。
出典:CLAMP『東京BABYLON』より
星史郎の「努力」の結果、昴流の心が動いたのですね。人を好きになるのは素敵な感情だけど、残酷な結末を迎えることに・・・。
星史郎は、昴流を「特別」だと思えなかったのです。
賭けの結果
再会してから1年間、昴流を「特別」思おうと「努力」してきた星史郎。でも結果は・・・、
出典:CLAMP『東京BABYLON』より
貴方の『綺麗』な『心』に触れても……結局 僕は何も変わらなかったようです
昴流を痛めつけても何も感じない星史郎を見ているとゾワゾワっとしました。優しい星史郎の面影はあらず。
昴流が星ちゃんを特別だと認識した後だから、なおさら残酷だった。
祖母の術でその場から助け出されたけど、抜け殻のようになった昴流と、そんな弟を見つめる北都ちゃんの眼差しが切ない・・・。
自分を攻める北都ちゃんが不憫でした。この後、残酷な結末を迎えることになります。
『東京BABYLON』残酷な結末|犠牲になった北都
『東京BABYLON』のラストが衝撃で残酷なんですよね。昴流じゃなくて、北都ちゃんが犠牲になるという・・・。
しかも『東バビ』を読んだだけでは意味不明だったりします。
出典:CLAMP『東京BABYLON』より
昴流の式服に着替えて、星史郎に会いに行く北都ちゃんが印象的でした。決意を秘めた表情はカッコよくて美しい。
私にしか使えない『術』があるのよ
北都ちゃんにしか使えない術を星史郎に放ち、結果、彼女は殺されてしまう・・・。その術がどういうものかは『東バビ』を読んだだけではわからないんです。
これはCLAMPの別漫画『X』で明かされてるんだ。術については後ほど解説するね。
姉の死を知り、復讐の決意を胸に誓う昴流。ラストは成長した昴流が描かれていました。
出典:CLAMP『東京BABYLON』より
あの人だけは僕が……殺します
なかなか男前。辛い過去を背負っているからか哀愁を感じる。
『東京BABYLON』を読んだら『X』も読まずにはいられません。
『東京BABYLON』続編『X』について|因縁の2人の決着
『東京BABYLON』の続編にあたる『X』では、昴流と星史郎の決着、北都ちゃんが最後に星史郎にかけた術が明かされています。
勢いで『X』も再読。ずっと昔に読んだきりだったから、懐かしくも面白すぎました。昴流と星史郎の一応の決着はついたけど新たな問題がひとつ浮上。
『X』の方も続きが気になりすぎる・・・。
『X』は、2022年7月現在18巻まで出ているのですが、色々な理由から連載がストップしてるんですよね。こちらもかなりの鬱展開(+グロ)。最後まで読みたいものです。
『X』では、6巻〜昴流が登場するよ。
天の龍「7つの封印」として昴流が、地の龍「7人の御使い」として星史郎が登場。脇役だけど『東京BABYLON』とは別ストーリーで2人の対決が描かれています。
そして『東バビ』では不明だった北都ちゃんの術がどういものであったかも・・・。
昴流VS星史郎|因縁の対決の結末は?
昴流と星史郎の最終決戦は、レインボーブリッジで繰り広げられます。なかなか読み応えがありました。
『X』に持ち越された因縁の対決は、星史郎の死というカタチで幕を閉じる。昴流は生き残った。
見事に北都ちゃんの仇をうてたわけですね、めでたしめでたし・・・とはならず。
結局、星史郎が死んでも昴流の心は満たされません。昴流は星史郎の死を望んでいなかったからです。
出典:CLAMP『X』より
貴方の望みは 僕を殺すことではないんですか?
優しげに問いかける星史郎と、「違います」とキッパリ答える、同じく右目を失った昴流が印象的でした。
星ちゃんの眼差しが優しい。
昴流を見つめる星史郎の眼差しが「特別な人」を見つめるそれのように感じました。
星史郎は昴流を手にかけようとして自ら命を絶ったのです。ここで『東京BABYLON』でのラスト、北都ちゃんが使った術が発動。
ようやく謎が明かされた。
『X』で明かさる北都の術を解説
出典:CLAMP『X』より
『東京BABYLON』で星史郎に放った「北都ちゃんにしか使えない術」というのは、彼女が命を賭けて弟を守ろうとした術でした。
星史郎が北都ちゃんを殺したのと同じ方法で昴流を殺そうとしたときに、そのまま星史郎に返る術。
北都ちゃんは、昴流が星史郎に復讐しないことを確信していました。そして自分がかけた術を星史郎に伝えることで、星史郎にも昴流を殺させないようにしたのです。
昴流と貴方に…生きてて欲しい
昴流だけじゃなく星史郎にも生きてて欲しいと願う北都ちゃんでしたが、結局、術は発動してしまいます。星史郎が昴流を殺そうとして自らに返るカタチで・・・。
星史郎にとって昴流とは?|2人の気持ちを考察
『東京BABYLON』→『X』と読んできたけど、星史郎の昴流への気持ちは謎のままです。
でもある程度の想像は可能なんだ。
・・・ということで、昴流の思いをまとめ、星史郎の気持ちを考察してみました。
昴流の望み|抑えられない気持ち
『X』を読んでいて、昴流の気持ちに切なくなりました。周りの人を悲しませるかもしれないけど、それでも願わずにはいられない強い気持ち。
出典:CLAMP『X』より
彼の中では、ずっと星史郎が「特別」だったのです。
貴方が僕を殺したことをすぐ忘れても…僕が数多い桜の贄の一人でも…せめて…貴方に……
昴流の望みは、星史郎を殺すことではなく星史郎に殺されることでした。でもその思いは叶わず、星史郎は北都ちゃんの術が返り死んでしまう・・・。
てっきり星史郎に復讐するんだと思ってたからびっくりしたよ。
昴流の望みもびっくりですが、もっと衝撃だったのが彼が『桜塚護』を継いだことです。
出典:CLAMP『X』より
昴流の右目は『X』の登場人物・封真によって傷つけられました。封真は星史郎の亡骸(目)を昴流に渡します。
星史郎は昴流に自分以外の人間がつけた傷跡が残っているのがイヤだった。
これって、星ちゃんにとって昴流は「特別」ってことだよね。
昴流は亡骸を受け取って『桜塚護』を継ぎ、星史郎は昴流の中でともに生き続ける。・・・なかなかすごい展開です。
星史郎の気持ち|歪んだ愛
『東京BABYLON』から1番気になっていたのは、星史郎の気持ちです。
星史郎にとって昴流はどんな存在なのか。
『東バビ』のラストでは、やっぱり「特別」にはならなかったのかも・・・と思っていたけど、『X』を読んだら変わりました。
昴流が「特別」だったから、星史郎は昴流に殺される(正しくは自ら命を絶ったのだけど)方を選んだのではないか。
星史郎は北都の術の内容を知っていて、自分に返ることを承知で発動させたんだ。
どうしてだろうと考えたら、そういう結論に至りました。それに『X』では、星史郎が『桜塚護』を継いだ小話も描かれています。
母を殺めて『桜塚護』を継いだ星史郎。「僕は誰に殺されるのか」との問に母は・・・、
貴方が一番好きな人よ
この親子、歪んでる・・・。
『桜塚護』親子は歪んでいますが、歪んでいるからこそ星史郎は北都の術を発動させたのです。・・・昴流が「特別」だったから。
星史郎の言葉で昴流に対する気持ちは描かれていないから想像の域を出ませんが。
CLAMP漫画『東京BABYLON』&『X』作品情報
最後に、CLAMP漫画『東京BABYLON』&『X』の作品情報です。『東京BABYLON』を読んでから『X』を読むと、倍楽しめるのでおすすめ。
紙の本だったら『東バビ』は全7巻のタイプが表紙のイラストも7冊分楽しめるよ。
CLAMPは、表紙のくっきりカラーのイラストも素敵で魅力です。
『東京BABYLON』作品情報&登場人物
【登場人物】
- 皇昴流(すめらぎすばる)・・・主人公。16歳。皇一族の13代目当主
- 皇北都(すめらぎほくと)・・・昴流の双子の姉。ハイテンションでポジティブな性格の持ち主
- 桜塚星史郎(さくらづかせいしろう)・・・25歳。眼鏡をかけた大柄な青年。暗殺集団『桜塚護(さくらづかもり)』の跡取り息子で獣医師
『X』作品情報
『X』は2022年7月現在、18巻まで出ているよ。