『ダイの大冒険』ネタバレ感想|ヒュンケルの師アバンとミストバーンの正体

あなたにとって・・・オレはなんですか?
漫画『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』での人気キャラ・ヒュンケル。
最初は敵としてダイの前に現れるけど、後に味方となるレギュラー的な存在です。

彼を語るときに外せないのは、2人の師との関係だよね。
2人の師とは、アバンとミストバーンです。
片方は勇者で、もう片方は魔王軍。アバンを光の師とするならミストバーンは闇の師ですね。『ダイの大冒険』は、ヒュンケルと師との関係が興味深いんです。
『ダイの大冒険』あらすじ&作品情報

モンスターが平和に暮らすデルムリン島。その島でモンスターに育てられたダイは、勇者に憧れている少年だった。ある日、島を訪れた“勇者育成の家庭教師”アバンに才能を認められ、ダイは勇者になる特訓を開始する。だが、復活したかつての魔王ハドラーが現れ・・・。
アバンとヒュンケル|光の師弟の絆

出典 : 三条陸、稲田浩司『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』
ヒュンケルが初めてダイの前に現れたのは、魔王軍不死騎団長としてでした。レオナ姫を救うべく訪れたパプニカ王国でのこと。
魔王軍六団長の一人・・・不死騎団長ヒュンケルだ!!!!
大魔王から授けられた無敵の鎧に身を包む姿が印象的でした。剣が鎧になるなんて・・・。ポップの魔法も無効だし、絶体絶命のピンチ!

ヒュンケルはアバンの教え子なのに、なぜ?と思ったよ。
ダイやポップ、マァムと同じように、ヒュンケルもアバンの使徒です。しかも一番弟子。それなのに彼は、人間と敵対関係にある魔王軍にいたのですよね。

アバンを憎むヒュンケルが、ただならぬ感じだった。
アバンとの確執|ヒュンケルが人間を憎む理由
ダイの前に魔王軍として現れたヒュンケルは、アバン(人間)に憎しみを抱いていました。

出典 : 三条陸、稲田浩司『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』
正義だの平和だののお題目でオレの父を殺したアバンを・・・人間どもを・・・許せるわけがなかろうがっ!!!
ヒュンケルの育ての父は地獄の騎士バルトスです。かつて勇者アバンがハドラーを倒しに魔王城を訪れたときに、バルトスは命を落としました。
ヒュンケルが人間を憎む理由は、アバン(人間)を父の仇と思っているからです。

ダイとヒュンケルって、境遇が似ているんだよね。ダイもモンスターに育てられたから・・・。
もしも、ダイの育ての親ブラスが人間に殺されていたらと思うとヒヤリとしました。
アバンとヒュンケルの師弟関係は、アバンが勇者としてハドラーを倒したときに遡ります。

出典 : 三条陸、稲田浩司『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』
アバンに斬りかかるシーンは、ちょっぴり切ない展開でした。ヒュンケルはアバンに剣を習いながら、実は師を憎み、復讐の機会を伺っていたのです。
真実と父バルトスの遺言状
アバンを父の仇だと思っていたヒュンケル。でも真実は違いました。

出典 : 三条陸、稲田浩司『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』
バルトスを殺したのはアバンではなかった。
バルトスは息子ヒュンケルをアバンに託したのです。強く正しい戦士に育て、本当の人間の温もりを与えてほしいと・・・。

アバン先生ならと思ったんだね。
父の仇はハドラーでした。
真実を知らなかったとは言え、ずっと師を憎んできたヒュンケルの心情を考えると切なくなります。しかもアバンはもういないと思われていたから・・・。

かつての勇者は、全てを承知の上でヒュンケルのことを引き受けたんだね。器の大きな人だ。

アバンとヒュンケル、師弟の絆に泣ける
アバンとヒュンケルの師弟の絆に泣けました。1991年版アニメでは描かれなかった後半です。
実は生きていたアバン。

出典 : 三条陸、稲田浩司『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』
原作漫画の文庫版17巻。ダイの味方になったヒュンケルをみて彼に言ったアバンの言葉が優しいんです。
ヒュンケル・・・あなたが・・・今この場に生きて・・・ダイたちに 力を貸してくれた・・・それだけでもう 私は・・・私は 夢のように幸福です

私もアバン先生をまた見れて、夢のように幸福です(泣)。
このシーン、ヤバイ。大魔王バーンを倒すために乗りこんだバーンパレスでは、名シーンがたくさんあるんですよね。
アバンとヒュンケルの絆が感じられるシーンは他にもあります。

出典 : 三条陸、稲田浩司『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』
アバンは弱い!!この最後の戦いに参加しても 無駄に命を落とすだけだ!!
突然、アバンに反抗するヒュンケル。・・・ど、どうした、ヒュンケル!?と思っていると、この表情です。

出典 : 三条陸、稲田浩司『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』
アバンいわく、寂しさと申し訳なさが同居してるような目。
ヒュンケルはアバンの真の力を見抜き、この先のバーンパレス攻略には彼の力が必要だと思って追撃を押さえる役を買って出たのです。
アバンの教えにこんな鉄則がありました。

挟み撃ちに遭ったらこまるからね。
ヒュンケルの心意気と、そんな彼を理解しているアバン。言葉がなくてもお互いを分かりあえている師弟の絆を感じました。
闇の師弟の戦いとミストバーンの正体

出典 : 三条陸、稲田浩司『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』
ヒュンケルにとっては、もう一人の師ミストバーン。初めは魔王軍の魔影軍団軍団長としてダイの前に現れた謎多きキャラでした。

口数が少なく、表情も見えなくて不気味。
実は大魔王バーンの秘密を握る重要なキャラでもあるんですけどね。ミストバーンの正体については後ほど・・・。
闇の師ミストバーン
アバンの元を離れたヒュンケルを助けたのは、ミストバーンです。それ以来、ヒュンケルは魔王軍の戦士として腕を磨き続けることになります。

出典 : 三条陸、稲田浩司『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』
でも父の仇の真実を知った彼は、ダイの味方として今度は師ミストバーンと対決することに・・・。

ヒュンケルが使う闘魔傀儡掌(とうまくぐつしょう)は、ミストバーンの技なんだ。
ヒュンケルが初めて闘魔傀儡掌を使うのは、ダイとの戦いのときでした。
原作漫画の中盤(文庫版10巻)、本家本元のミストバーンが放つ闘魔傀儡掌はものすごい威力。移動要塞・鬼岩城を操るミストバーンとの闘いが描かれています。
暗黒闘気vs正義の光|本家本元の闘魔傀儡掌
パプニカ王国に攻め入る移動要塞・鬼岩城のシーンは、大迫力で読み応えがありました。闇の師弟、ミストバーンとヒュンケルの戦いです。

出典 : 三条陸、稲田浩司『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』
ミストバーンが放つ闘魔傀儡掌が凄まじい・・・。さすが本家本元ですね。
暗黒闘気で対抗しようとするヒュンケルに対して言ったマァムの言葉に愛情を感じます。

出典 : 三条陸、稲田浩司『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』
戦うなら・・・正義の力だけで戦って・・・!!

もう二度と、ヒュンケルの荒んだ目を見たくないと言う彼女の気持ちにジーンとした。
正義の光に賭けたヒュンケルは、アバン流最高奥義「空」の技・虚空閃を無我夢中で繰り出します。そのとき、ミストバーンに人の顔が・・・。

目だけ光ってる謎キャラ・ミストバーン。人の顔が出るとは衝撃だ。
我を忘れたように怒り狂うミストバーンを見るのは、これが初めてです。いつも冷静沈着な魔影参謀だけど、こんな一面もあるんですね。
ミストバーンの正体と思惑|ヒュンケルを弟子にした理由に戦慄

出典 : 三条陸、稲田浩司『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』
ミストバーンは、なぜヒュンケルを弟子にしたのか?
魔影参謀の思惑に衝撃が走りました。ミストバーンはヒュンケルの肉体を乗っ取るつもりで彼を育てていたのです。
おまえだヒュンケル! ・・・最初からおまえが狙いだったのだ・・・!!
最悪の師・・・、イヤ、もはや師とは言えません。
ミストバーンの正体は、大魔王バーンの身体を借りている魔物ミスト。ミストは実体を持たず、生物に憑依する能力があるモンスターです。

ミストバーンは、大魔王バーンと一体となっていたんだね。
バーンの身体から抜け出たミストはヒュンケルの身体を乗っ取ろうとするけど、光の闘気の方が勝りました。最後はヒュンケルの中で消滅します。
長きに渡った闇の師弟の宿命が終わった瞬間。
あなたにとって・・・オレはなんですか?
手を差し伸べるアバンに問いかけるヒュンケル。アバンは・・・、

出典 : 三条陸、稲田浩司『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』

このシーン、最高に良いよね。涙止まらない。

光と闇の師弟|絆と終焉
最終的に光の正義を選んだヒュンケル。アバンとは絆が深まり、ミストバーンとは終焉を迎えました。

ヒュンケル、カッコよかったよ。
アバンやダイ、ポップ、マァム、ラーハルト、ヒム・・・。様々な人たちと接する中でヒュンケルの気持ちに変化がおきたのですね。
『ダイの大冒険』は本当に登場人物が良くて、敵が仲間になったりと胸が熱くなるシーンが満載です。面白いから読みましょう。



